ミュージックフリマにお出かけ 2018.12.9(日)

今日の午前はいつもと違い、音楽の時間。
ギターの練習をしたり。

写真では分かりづらいかもしれませんが「エビカニクス」を踊ったり。

でも今日は早めに切り上げます。
なぜならば。本日、福祉の里で行われてるイベント、「ミュージックフリマ」に出演する川地さんを見にいくためです。
川地さんには、以前deco boko BLUESにも出演していただきました。利用者さんの中に熱烈な「川地ファン」がいます。
とっても嬉しそうに聴いてました。客席で一緒に歌ってた方も数名。
演奏後、早速川地さんのところに行って、「またデコボコさんに来てください」ってお願いをしてました。

川地さんの次に出演していた「チェアラップ」さん。
スタッフ田中の昔のバンド仲間でした。びっくり。
そんで、人が大好きな利用者さん、出演後、早速お話に行ったり、ギターでなんか弾いてもらったりしてました。

帰り道、「あー。楽しかったー」とある女性の利用者さん。
スタッフとしては当然嬉しいのですが、そんなに?って思ったりも。
カラオケやったり、友達と会ったり、ちょっとしたお出かけに行くって、まあ「普通のこと」って感覚。今日の企画は、そこまでスペシャルではない。

どうしてだろう、って考えてるうちに、昨日、ある方がおっしゃってたことを思い出しました。

その方は福祉サービス事業所のスタッフさん。そこの利用者さんで、休日に事業所の駐車場で長い時間一人で過ごしてる方がいるという。
なぜか。
休日でも、時々職員が色々な用事で事業所に顔を出すことがたまにある。
車から職員が降りた時に、ちょっとお話をしたい。おそらく数十秒か長くても数分。
そのために休みの日に駐車場で待ってる。職員が来るか来ないかもわからないのに。

今日の彼女の「楽しかった」の中に、話を聞いてもらった、おしゃべりできた、新しい知り合いができた、そんな要素があるのかなってことを、思いました。

「アタリマエ」に近付こう。

学ぶってこと

今日は前職の同僚の方に手伝ってもらって、「ガラスフュージング」を行った。
活動の様子はまた明日にアップするつもりだが、今日感じたことを、忘れないうちに記しておきたい。

今日のワークショップ、工程の中で、四角いガラスを数枚重ね、電子レンジの中で加熱する。すると、ほぼ正方形のガラスが溶けて丸くなり、どら焼き状の様な形になる。上から見たらほぼ円形になる。

なかなかに面白い現象ではあるんだけれど、このことを今日の参加者に伝えた時、「えーっ、どうしてー」と子どもが新たな発見をした時の様な、驚きと喜びの混じった表情で声を出した参加者の方がいた。

この事業所を立ち上げるにあたって、「学び」の要素をいれた活動をしていきたいなって思っていた。
「学び」ってなんのため?と問われた時、試験に受かる、人から評価される、役に立つなど色々な要素あると思う。それは否定しない。
でも僕たちが考える「学び」って、第一に「おもしろい、楽しい」。それを大事に中身を作ってきて、これからもそうありたいと思っている。

ここから記すことは、あくまで、僕の見てきた狭い世界の中での、僕が感じてきたことって断った上での私見。
知的障害の人たちの教育って、身の回りのことをやれる様になる、社会に必要な読み書きをできる様になる、迷惑をかけない様になる、人の指示を聞ける様になる、会社など働くことに適応できる様になる、ってことに主眼がおかれている様に感じる。

もちろん楽しい授業づくり、体験をたくさん提供しようとしている先生や保護者の方たちもたくさんいることをわかってはいる。僕がこの仕事を始めた20年前に比べたら、各障害への理解なんかも確実に進歩している。

でも。
学校を卒業して、安定した就職先や、施設があれば、それでいいやってなってないかな。

健常者と言われてる人たちは大人になっても、どこかで「学ぶ」って機会は、ずっと持ってる。でも知的障害の人たち、大人になってから、その機会は格段に減ってしまう。

知的障害の人に「学び」って必要なの?って疑問も少なからずの人が感じているとも思う。

今日のガラスが丸くなった理由、「炉内の温度がガラスの融点を超えて液状化し、体積に対しての表面積を最小にしようとする表面張力の働きである。」といったことを理解するのは難しいかもしれない。
でも加熱したらガラスは溶ける、ってこと、実体験として感じることはできたと思う。

「えー、どうして?」って聞いてきた彼女の目。
今日作ったガラスの作品の様にキラキラしてた。

嬉しかったこと

今朝、deco boko BLUESの駐車場に到着のYさん。
何やらお母さんの車から大きなものを引っ張り出している。

なんだろう、って思ったらそれはエレキギター。

先週のこと。スタッフの会話で、買い物が好きなこと、ギターを買ったことなど話してたんだっけ。そんで今度持って来てよ、って言ったこと覚えててくれて、早速今日持って来てくれた。

まずはギターをチェック。一本弦が切れてる。弦高も高いなー。
ネックの反りは許容範囲。ペグも硬いけどチューニング出来た。

早速アンプに繋いでみる。ん。音が出ない!
ボリュームを回してみたり、何度かシールドの抜き差しをしているうちに・・・

ジャジャーン。鳴りました!

彼女の顔がほころぶ。

エレキギターなんだけど、アンプに繋いで鳴らしてみたことはなかったんだって。そんで、適当にジャカジャカして遊んでたけど、弾き方がわからないって言ってた。そのうちに弾かなくなったのかな?

deco boko BLUESに来はじめて、音楽やって遊んだりしているうちに、家で眠ってたギターのこと思い出してくれたんだろうか?

せっかくのギター、やっぱり彼女に弾いてもらいたい。
彼女はコードの押さえ方の一つも知らなかったし、ピックを持つ右手のストロークもぎこちない。

ギターの教則本的なステップでは、ややハードル高いかもしれない。
でもやっぱり彼女には、彼女が買ったギターを弾いてもらいたい。

そこで。

コードフォームを覚えなくて済むオープンチューニング。DGDGBD。
これなら、一列をまとめて押さえるだけで、コードの音が出る。

3フレットにC、8フレットにFのシールを貼る。
開放弦の時はG。3コード完成。やってみる。

でもセーハ(一列を人差し指で全部押さえること)が難しい。二つの弦を同時に押さえるのも今の段階では難易度高い。

さらに、6弦を外す。

一本の弦弾くだけでもいーよーって伝えて、やってみる。
ベース的ではあるが、なんとなく曲ができそうな感じがして来た!

シチューを作る前と、フラダンスの後に練習。
曲は「日曜日よりの使者」。

他のみんなにもドラムパッドやタンバリンで入ってもらって、練習。セッション。

ぎこちないけれど、一所懸命C、Fのマーク探して弾いている。
遅れないようにと、必死に演奏に食らいついて来てる。

もーしかして、もしかすると。いつかバンドっぽいの出来るかもしんない。
ここにいるみんなでいつかステージに立ちたいなって思った。

スタッフのつぶやき

先日初参加してくれた方。実は結構前からの知り合いで、私たちが主催するボランティアの参加者であった。
友達同士で参加した彼は、とても明るく、流行りのTVドラマ、歌手などのモノマネをしては友達とじゃれあい、ふざけあっていた。
ほぼ企画のたびに参加してくれたりしていたのだが、企画の間隔が伸びてしまったり、開催できない年もあった。

しばらく経って、彼が仕事を変えたり、少し苦労しているのかな、ということを耳にした。

deco boko BLUESを開業し、彼と久しぶりに再会した。
挨拶もしっかりできるし、人に気を使ったり、自分から「何か手伝いましょうか」と声をかけてくれる、とても「いい子」である。
ただ気になったのは、前みたいな、弾けるような笑顔がなかったこと。

知的障がいを持っている方の、障がいの程度はとても広い。乱暴な切り方だが、発達年齢だけでも0〜小学生くらいまで。だからと言って、その年齢相応のバランスよく発達するのではなく、記憶はとてもいいけどコミュニケーションがちょっと独特だったり、会話ができるけど文字を書くのが苦手だったり、各個人によって大きく違う。
その中で、「幼さ」と言っていいのかどうかわからないが、言い換えれば「純粋さ」だろうか。それをずっと持っている場合がある。友達と時にはいたずらして笑いあったり、子ども時代に好きだったことをずっと大人になっても持っていたり。

だが、社会の中で生きていく上では、その「純粋さ」をある程度コントロールしていかないと、上手くいかない。それは障がい持っているかどうかに関わらずだけれど。

彼は朝5時台に起き、職場に通う。清掃の仕事を真面目にやっているのだろう。手のひらにマメが出来ていた。「仕事は厳しいです」とも言っていた。
社会の中で認められるよう、一所懸命適応しようとしている。それはそれで、立派なこと。
でも彼の表情が明るくないように見えるのはなぜ?

健常者も同じように「適応」を求められる「オンの時間」がある。社会生活をして収入を得たりするためには、ある程度はしょうがないかな、とも思う。

違いは「オフの時間の選択肢」かなと思う。友達と電話する。グチを聞いてもらう。楽しいことを共有する。飲みにいく。ドライブに行く。美味しいものを食べる。サーフィンをする。旅行する。選択肢はさまざま。
時にはハメを外したり、自分を解放して、バランスを取っているのではないだろうか。

知的障がいのある方の話を聞く限りでは、オフの時間の選択肢は多くない。友達と過ごす時間も休みが合わなかったりして、疎遠になって行くケースが多いように思う。

deco boko BLUES利用の初日。彼は最初は所在なさげに隅の方で座っていた。周りの利用者、スタッフにもとても気をつかっている。
それでもだんだん打ち解けて来て、時々見せる笑顔。初対面の他の利用者と「嵐」や「AKB」の話をしている。
みんなが帰った後も、「まだしばらくここにいていいですか」とスタッフとおしゃべり。
そして「明日も来てもいいですか」って。

楽しいオフの時間、これからも考えていこう。

台風が過ぎて、休み明けの月曜日。元気に仕事に行ってくれていたらいいな。